最新のビジネス実践知を学修し現場で展開
多摩大学大学院MBAコース
JR品川駅港南口から徒歩1分の品川インターシティフロント5階の一室で、医療・介護関係者や公務員、民間企業に勤める人たちが、日本の医療や社会が抱える課題などについて議論を交わしている。そこで行われているのは、多摩大学大学院の講義だ。
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このビジネススクールは、MBAの取得を目指す社会人の学びの場で、平日は午後6時30分から午後9時40分まで、土・日が午前9時から午後4時10分まで講義が行われる。
講義の大きな特長は、徹底的に実践にこだわり、ビジネス分野などの第一線で活躍する講師陣が充実していることだ。これにより、受講生はビジネスの問題解決に直結する生きた知恵やスキルを学ぶことができる。
もう1つの特長は、1科目当たりの平均受講者数が12.7人(2018年春学期)と、少人数制を採用していること。そのため、講師や受講生同士の“距離”が近く、一人ひとりの意見を聞くことができる。
実践的ノウハウを学べる約100のカリキュラムがあり、このうち、「最新ビジネス実践知/ヘルスケア」の分野で3講座を担当するのが真野俊樹特任教授だ。
真野特任教授は、名古屋大学医学部を卒業し、臨床医などのキャリアを積んだ後、米コーネル大学医学部研究員を経て、英レスター大学でMBAを取得した。日本の社会保障制度にも精通しており、マネジメントやイノベーションの視点を踏まえ、表層的な医療・介護の知識ではなく、世界最先端のベストプラクティスとビジネスモデルを探究し、専門性の深化を図る改革を医療・介護業界に提案している。
「社会性を重視した授業の構成になっているので、社会的な要素が強い仕事に携わる医療者にとって相性がいいと思います」―。真野特任教授は、他の業種に比べて「非営利」の要素が強い医療にかかわる人が多摩大学大学院のMBAコースの授業を抵抗なく受けられるのではないかと考えている。
同MBAコースでは、デジタル経営の分野にも注力。真野特任教授は「データに基づいたヘルスケアを勉強したい人には最適」と受講を勧める。
MBAコースの次の入学期は2018年9月。既に出願を受け付けており、出願の締め切りは8月6日(月)だ。受講を検討している人に対し、真野特任教授はこのようなメッセージを送る。
「社会性を重視するという理念を持った上で、もう少し知識を深めたいと思っている人がヘルスケア分野に多いと思います。当大学院のMBAコースで、そのニーズにマッチさせたいです。もちろん、医療などに直接関与していない一般の人も受講が可能です」。
入学検討者向けに真野特任教授が「日本の医療、10勝5敗3分けで世界一? 何を世界に売り出せるのか」をテーマとした体験講座を7月10日(火)午後7時30分―9時に開催する。関心がある方は参加いただきたい。
申し込みはこちらから→https://w2.axol.jp/entry/tama/step1?f=72
■地域の多職種連携に向け、情報ネットワークづくりに注力
「自分の進む方向性と、使命として何をしなければならないかが、多摩大学大学院で明確になった」―。理学療法士(PT)の資格を持つ小田嶋裕之さん(37)は、同MBAコースでの講義をこう振り返る。
小田嶋さんは、PTの専門学校で教員をしながら、14年9月から2年間、同大学院の品川サテライトに通った。同MBAコースを選んだ理由は、「地域医療の多職種連携を深めるためには経営学が適していたから。そして、経営学を学ぶには多摩大学大学院しかないと思っていたから」(小田嶋さん)。また、同大学院の修了生であるPTの先輩から、講義や講師陣に関するポジティブな話を聞いていたことも影響したという。
主な受講テーマは、「地域デザイン戦略」や「地域活性化」など。特に「地域デザイン戦略」の講義では、さまざまな視点からのアプローチによって地域デザインとは何かを学んだ。
小田嶋さんは「PTは病院や施設に所属しているため直接地域に出ることができないので、講義を受けてとても新鮮だった。私は多職種連携という視点を持っていたからこそ、これらの講義を選び、学ぶことができた」と強調。また、「ビジネスの世界で実際に活躍している人や、制度に縛られずにヘルスケアについて考えている人の講義は、とても刺激的だった」とも話す。
現在、川崎市を拠点にフリーランスのPTとして活動する小田嶋さんは、地域での多職種連携に向けた「情報共有のインフラ」をつくることが使命だと考えている。
「急性期と回復期、在宅でPTのやることや役割が異なるので、まずは療養環境別のリハビリ職、つまり理学療法士、作業療法士、言語聴覚士をつなげる情報ネットワークづくりをしたい。そして、これにケアマネジャーや福祉用具専門相談員たちも参加できる多職種連携の仕組みを構築したい」と小田嶋さんは意欲を示した。
真野特任教授の体験講座の申し込みはこちら→https://w2.axol.jp/entry/tama/step1?f=72
■オリーブを使って予防医療参入を目指す
「以前からヘルスケアに興味があり、オリーブを使ってヘルスケアの分野で何かできるのではないかと思っていた」―。香川県小豆島町でオリーブの栽培から加工、商品販売までを手掛ける会社の創業者・柳生好彦さん(65)は、こう語る。
柳生さんは、11年4月から2年間、多摩大学大学院のMBAコースを受講。きっかけは、当時の同大学院の望月照彦教授(現多摩大学名誉教授、専門は都市計画)からの誘いだったからだ。
専攻したのは「経営情報学研究科・経営情報学専攻」で、その中に真野特任教授の講義も含まれていた。柳生さんは、「真野先生はいい意味で医師らしくなく、性格が非常にオープンで、それがいい」と評する。また、真野特任教授の講義を通じて、医療に携わる人との距離が近くなり、人脈づくりができたことが大きな成果だと実感している。
柳生さんにとって、特に刺激的だったのは他の受講者とのディベートだ。「30―40歳代の優秀な院生との議論はとても面白かった。負けるわけにはいかないので、恐らく人生で一番多く本を読んだ」と充実感をにじませていた。
ビジネスの第一線で活躍する他の講師の講義も柳生さんにとっては面白く、修了要件が30単位のところ、最終的に60単位も取得していた。
同MBAコースの受講により、目標が明確になった。「オリーブによって世界中の人の心と身体の健康に寄与したい。将来は予防医療の世界に参入したい」。柳生さんは熱く夢を語った。
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