コスト意識「高まっている」医療機関の8割
エプソン販売とCBコンサルが共同調査
少子・高齢化などを背景に医療費削減の必要性が叫ばれる中、コスト意識が高まっている医療機関が8割近くを占め、「印刷・消耗品費」などの削減に実際に取り組む医療機関がこれらのうち7割近くあることが、エプソン販売とCBコンサルティングが共同で行った調査の結果から明らかになりました。
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また、「OA機器コスト」への意識や対策に関する質問では、機器の導入に伴うイニシャルコストと、導入後の維持費などのランニングコストを「注視している」と答えた医療機関がそろって7割に迫り、現場の関心の高さがうかがえます。
医療機関で印刷される機会が最も多いのは「伝票/領収書」でした。以下は「処方せん」「患者用説明資料」などの順で、トップ3はいずれも患者向けの文書や書類が占めました。
医療・健康・福祉分野を専門にコンサルティングを行う「ジャパンコンサルタントアンドメディカルサービス」(東京都千代田区)の森清光社長によると、会議資料など院内で使うものと異なって患者向けの文書や書類は電子化するのが難しいということです。森社長は「印刷費は部署を横断して細かく消費を積み重ねるため、目の届きにくいコスト」だと話しています。
■削減目標「設定済み」は2割
今回の調査は「医療機関の『印刷機器 費用・業務に関する』意識・実態調査」で、情報関連機器販売大手のエプソン販売(東京都新宿区、佐伯直幸社長)と、医療介護専門の情報サイト「CBnews」を運営するCBコンサルティング(港区、藤本進社長)が3月7-10日、インターネット上で共同で実施しました。
高齢化の進展などを背景に医療費削減の必要性が叫ばれる中、医療機関のコスト意識や印刷業務の実態などを把握するのが目的で、医療機関の事務担当者ら計103人分の回答を集計しました。
その結果、コスト削減への意識が院内で「高まっている」と答えた医療機関は全体の79.6%と8割に迫りました。実際にコスト削減に取り組んでいる医療機関も56.3%と過半数を占め、診療報酬改定などで医療機関の経営環境が変化する中、医療現場でコスト意識がかなり浸透していることを示唆する結果です。ただ、コスト削減の具体的な目標を設定しているのは、集計した全医療機関の21.4%にとどまりました。
また、コスト削減に「取り組んでいる」と答えた医療機関に削減の対象を聞いた質問では(複数回答)、パソコンや印刷機といったOA機器のコスト、光熱水費などを含む「経費」を挙げる医療機関が72.4%で最も多く、以下は医薬品や診療材料費など材料費(67.2%)、人件費(34.5%)などの順でした。
■OA機器のコストに医療機関の7割が注視
今回の調査では、医療機関内で常に一定のウエートを占める「OA機器コスト」への意識やそれへの対策の実態も質問しました。その結果、機器の導入に伴うイニシャルコストと、導入後の維持費などのランニングコストを「注視している」と答えた医療機関はそろって68.9%と7割に迫りました。
また、「OA機器コスト」がどれだけ発生しているか、月ごとに「把握している」のは46.6%という結果。「OA機器コスト」のうち、「印刷・消耗品費」や「コピー・プリント費」などの項目別では(複数回答)、「印刷・消耗品費」を毎月把握している医療機関が83.3%を占め、特に注目度が高いことが分かりました。このほかは「コピー・プリント費」が79.2%、「電気代」が70.8%などでした。
「印刷・消耗品費」は、実際に削減を「進めている」という回答も全体の55.3%と過半数を占め、医療機関によるコスト削減策の定番であることを印象付ける結果です。これらの医療機関による「印刷・消耗品費」の具体的な削減策(複数回答)は、「消耗品の使用法見直し」が71.9%、「印刷枚数の削減」が50.9%で、「印刷機器の変更・見直し」にまで踏み込んでいる医療機関も36.8%ありました。
現在使用しているプリンターの不満な点や課題だと感じる点を聞くと(複数回答)、「消耗品代(インク・トナー代)」を挙げる医療機関が56.3%で最多でした。プリンターを導入する際に重視するポイントは、現在使用しているものよりも「印刷コストを削減できる」が85.4%、「印刷スピードが上がり業務効率が上がる」が76.7%などでした。
■印刷の機会が多い文書に部門の差
院内で印刷される機会が多いものは何かを聞いた質問では(複数回答)、「伝票/領収書」の72.8%が最多。以下は「処方箋」が70.9%、「患者用説明資料」が68.0%などで、トップ3はいずれも患者向けの文書・書類が占めました。
院内の場所や部門ごとに印刷業務の実態を聞いた結果、「ここでは印刷しない/この場所はない」を除くと、医事会計などを除く事務部門では「会議資料」と「院内資料」(共に35.0%)がトップでした。これに対し、診察室では「患者用説明資料」の36.9%が最多で、部門や場所によって差がありました。
医療介護経営CBnewsマネジメント
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