【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
■急性期では病床利用率が高くても、病床回転率が低いのは大問題
前々回は「大学病院本院間のばらつき」を、前回は「大学病院本院に患者が奪われていないか」を検証した。これらから見えてきたのは、教育研究機関の役割も持つ大学病院本院が経営を軽視できない厳しい時代になったことだ。
しかし、大学病院本院が経営の視点で二次救急や軽度な症状の短期入院患者数を充実させることは、大きな代償を伴う。二次医療圏内において病院機能分化があいまいになることで、地域の中小病院は入院患者を奪われてしまう。その結果、“地域医療生態系”で小回りが利く中小病院の経営悪化を招いてしまうことは、十分考えられるシナリオである。
軽症患者や社会的入院患者で長期にベッドを埋めようとすると、一方で悪くなるのは、平均在院日数だけではなく、「重症度、医療・看護必要度」「DPCの効率性係数」である。これからは複数の経営指標を総合的にとらえる必要がある。
今回は具体的な事例として、ベッドを化学療法患者で埋めるのか、手術患者で埋めるのかについて、9月に発表された2013年度DPC公開データに基づいて考えてみたい。
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次回配信は、10月22日5:00を予定しています
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