日本医師会(日医)は、中央社会保険医療協議会(中医協)の委員の任期(3期6年)が来年10月で満了になる安達秀樹・社会保険診療報酬検討委員会委員長の後任として、医療保険の主担当常任理事になった松本純一氏を推薦する。2016年度に予定される次回の診療報酬改定に向けた議論に松本氏が継続的に参加できるよう、安達氏の任期満了を待たずに交代する方向で調整を進めている。一方、安達氏と同じく中医協委員の任期が来年10月までの鈴木邦彦常任理事は交代せず、社会保障審議会の介護保険部会と介護給付費分科会の委員にも就任する。【佐藤貴彦】
2日の記者会見で横倉義武会長は、松本氏の中医協委員への推薦について、「鈴木常任理事と安達委員長の任期が、来年10月に切れる。(16年度に予定される診療報酬改定に向け)継続性を確保しなければならない」と説明した。
また、「地域包括ケアシステムを推進していく上で、医療と介護の連携が非常に重要になる」と指摘し、鈴木氏の中医協委員としての経験が今後、介護報酬をめぐる議論に生かされることへの期待を表明。「鈴木常任理事と松本常任理事の2人にタッグを組んでもらって、医療・介護の保険に当たっていくということで、このような人事にした」と述べた。
■松本氏「会員のためもあるが、国民のためが第一義」
同日の会見では、常任理事に新たに就任した4人がそれぞれ抱負を述べた。中医協委員に推薦される松本氏は、「医師会だから、会員のためも当然あるが、国民の健康を守るためにどうすればいいのかを第一義に考えながら進んでいきたい」と意気込みを語った。また、「これからの10年を見据えた中で、医療と介護をどう融合して国民を守るかを研究していく」として、中長期的な視点から議論に臨む考えも示した。
勤務医や男女共同参画などの担当となった笠井英夫氏は、「(医師が)一致団結し、日本の医療に尽くしたいという思いで組織力を強化する方向で働いていきたい」との決意を示したほか、「医療がない街づくりはあり得ない」との考えを強調。「地元の岡山県で、そう主張して一生懸命やってきた。そういうところでも役に立てたらいい」と述べた。
地域医療や医療関係職種が担当の釜萢敏氏は、「医療現場が元気になるように力を尽くしたい」といった思いから常任理事に立候補したことを明らかにした。地域医療をめぐっては、「入院から在宅へのシフトを国が強く進めている。在宅医療の受け皿をしっかり地域に根付かせるには、地域の医師会の役割が非常に大きい」と指摘。また医療関係職種については、「これからの医療においては、チーム医療が必要。医師だけで治療できるわけでは決してない。しっかり連携を図ることをぜひ進めていきたい」と述べた。
共同利用施設や医療廃棄物などを担当する羽鳥裕氏は、共同利用施設には病院のほか、訪問看護ステーションや臨床検査センターといったさまざまな施設が含まれることに言及。それらの担当常任理事として取り組む範囲は、「地域包括ケアというところまで含んでいると思う」との認識を示した。
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